確定申告で使える!セルフメディケーション税制

2021/3/30 火曜日

セルフメディケーション税制

1年間に支払った医療費が一定額を超える場合には、その翌年の確定申告で「医療費控除」を受けることができますが、一定額を超えない場合には「セルフメディケーション税制」を使って医療費控除を受けることもできます。

今回はセルフメディケーション税制とはどのような制度なのか、内容をまとめてお伝えします。

セルフメディケーション税制は「医療費控除」の特例

医療費控除はご自身や配偶者、生計を一にする親族が1年間に支払った医療費が一定額を超える場合、その超えた金額が所得から控除されます。計算式は、

1年間の医療費の合計額-10万円-保険金などで補てんされる金額

となります。「保険金など」には、民間の医療保険の入院給付金や、健康保険の高額療養費・出産育児一時金などが含まれます。なお、その年の総所得金額等が200万円未満の人の場合は、上記の10万円を「総所得金額等の5%」で計算します。ちなみに医療費控除できる金額の上限は200万円です。

おおまかに、1年間の医療費が10万円を超える場合にはこの医療費控除が使えますが、高額な治療や長期間治療を受けた場合以外は、なかなか年間の医療費が10万円を超えることは無いかもしれません。

そこで活用できるのが、医療費控除の特例である「セルフメディケーション税制」です。こちらもご自身や配偶者、生計を一にする親族が1年間に支払った「特定一般用医薬品等」の購入費用が一定額を超える場合に、その超えた金額が所得から控除されます。計算式は、

1年間の特定一般用医薬品等購入費の合計額-12,000円

です。1年間で12,000円以上の医薬品を購入すれば、その超えた金額が医療費控除の対象となりますので、通常の医療費控除よりも活用しやすいのではないでしょうか。ちなみにセルフメディケーション税制で医療費控除できる金額の上限は88,000円です。

なお、通常の医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できませんので、医療費が多くかかった年は通常の医療費控除、そうでない年はセルフメディケーション税制を活用する、といった使い分けをする必要があります。

セルフメディケーションの2つの要件

健康診断

このセルフメディケーション税制を活用するには、次の2つの要件を満たす必要があります。1つは確定申告する人が、健康の保持増進及び疾病の予防への「一定の取組」を行っていること、もう1つは「特定一般用医薬品等」を購入すること、となります。

1.健康の保持増進及び疾病の予防への「一定の取組」の範囲

一定の取組とは、会社や自治体が行っている健康診断や、インフルエンザの予防接種など、次の6つが該当します。例えばご主人が会社の健康診断を受けていれば、ご主人とそのご家族が1年間に購入した医薬品などの費用がセルフメディケーション税制の対象となります。

(1)健康保険組合、市区町村国保等が実施する健康診査【人間ドックや各種健診・検診等】
(2)市区町村が健康増進事業として行う健康診査【生活保護受給者等を対象とする健康診査】
(3)予防接種【定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種】
(4)勤務先で実施する定期健康診断【事業主検診】
(5)特定健康診査(メタボ検診)、特定保健指導
(6)市町村が健康増進事業として実施するがん検診

2.「特定一般用医薬品等購入費」の範囲

特定一般用医薬品等購入費とは、お医者さんが処方する医薬品(医療用医薬品)から、ドラッグストアなどで購入できるように転用された医薬品のことで、「スイッチOTC医薬品」と呼ばれてい医薬品の購入費をいいます・

どのような医薬品が対象になるのか?というのが気になるところです。厚生労働省に製薬会社の名前と医薬品名の一覧があるのですが数が膨大で、購入の都度調べるのは大変です。

ご存知の方も多いと思いますが、ドラッグストアなどで医薬品を手に取ると対象商品の一部にはマークがついているほか、レシートにも対象商品に「★」「◆」などのマークがついていますので、そのレシートを取っておき、金額を合計して確定申告をすれば良いことになります。

対象となる医薬品には風邪薬や鼻炎用内服薬、水虫の薬や肩こりなどの時に使うシップなど、日常で使う薬が多く含まれています。1回の購入額は少ないかもしれませんが、1年間で考えると大きな金額になることもありますので、ドラッグストアなどに行った場合にはレシートの保管をしておいたほうが良いです。

・厚生労働省:セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124853.html

確定申告の時はどうする?

確定申告をする時は「セルフメディケーション税制の明細書」と、健康診断などの結果通知表を確定申告書に添付します。明細書には購入した薬局名や医薬品名、支払った金額などを記載しますので、レシートを保管しておいて転記することになります。

またレシートは確定申告の期限から5年の間に、税務署から提示や提出を求められる場合がありますので、証拠書類として5年間は保管しておいたほうが良いです。

ご自身やご家族の健康を守るために購入した医薬品の費用が、確定申告をすることによって所得控除の対象となる場合がありますので、今後ドラッグストアなどに行った場合には、どの医薬品がセルフメディケーション税制の対象となるのか確認をしてみてはいかがでしょうか。