令和4年度以降の住宅ローン控除はどうなるのか?~令和3年(2021年)度税制改正~

前回のコラムでは、令和3年度税制改正の「住宅ローン控除」の概要をお伝えしました。
購入する住宅の床面積と購入する人の所得が要件に該当すれば、年末の住宅ローン残高の1%が所得税から、場合によっては住民税からも控除される制度です。
消費税の増税や新型コロナの影響を考慮して、控除期間や控除額が拡大されてきましたが、令和3年度の税制改正大綱の中に、この制度の内容を見直す、という記述があったのをご存じでしょうか。
今回は、その記述の内容とあわせて、今後の住宅ローン控除はどうなっていくことが考えられるのかをお伝えします。
税制改正大綱に書かれている内容は?
はじめに、令和3年度税制改正の内容をおさらいしておきます。
一般住宅の場合、「毎年末の住宅ローン残高(上限4,000万円)×1%」が10年間控除され、その後の3年間は、
・毎年末の住宅ローン残高×1%
・税抜きの住宅購入価格×2%÷3
のどちらか少ない額が所得税から控除されます。
また、購入する住宅の床面積は50平米以上、購入する人の所得はその年の合計所得金額3,000万円以下、
床面積が40平米以上50平米未満の住宅を購入する場合には合計所得金額1,000万円以下、となっています。
ただしこの内容のうち、「控除額」や「控除率」について見直すという記述が、与党が公表した税制改正大綱の中にありました。
【以下抜粋です】
平成30年度決算検査報告において、住宅ローン減税の控除率(1%)を下回る借入金利で住宅ローンを借り入れているケースが多く、その場合、毎年の住宅ローン控除額が住宅ローン支払利息額を上回っていること、適応実態等からみて国民の納得できる必要最小限のものになっているかなどの検討が望まれること等の指摘がなされている。消費税率8%への引上げ時に反動減対策として拡充した措置の適応期限後の取扱いの検討に当たっては、こうした会計検査院の指摘を踏まえ、住宅ローン年末残高の1%を控除する仕組みについて、1%を上限に支払利息額を考慮して控除額を設定するなど、控除額や控除率のあり方を令和4年度税制改正において見直すものとする。
【抜粋ここまで】
自民党HP:令和3年度税制改正大綱より
どのような見直しが行われるのか?

上の抜粋を要約すると、
「1%未満の金利でローンを組んでいる人が多いのに、ローン残高の1%を控除する仕組みってどうなのよ?」
ということになります。
前回のコラムでもお伝えしましたが住宅ローン控除は、「住宅購入者の金利負担を軽減する」ことが制度の趣旨です。
ローン金利が1%未満ということは、ローンの支払利息よりも住宅ローン控除額のほうが多くなるということもあり得るため、制度の趣旨に沿って、令和4年度の税制改正で控除額や控除率を見直すものとされています。
現在の控除額は、一般住宅であれば10年間は
・毎年末の住宅ローン残高(上限4,000万円)×1%=年間最大40万円
ですが、「上限4,000万円」の部分が見直しの対象となるかもしれませんし、
「1%」の部分が1%を上限に、「1%またはローン金利のどちらか低いパーセント」
などとなるかもしれません。
見直しの内容は今年の後半になるまでわかりませんが、いずれにしても今の制度よりも控除額が少なくなる可能性が高いので、
住宅購入をお考えの場合には購入時期によって住宅ローン控除額が変わることを考慮した上で購入計画や資金計画を考えていく必要があります。