今後の年金制度はどうなる?「130万円の壁」が下がる?

2020年5月29日に「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が成立し、同年6月5日に公布されました。2022年以降の年金制度を改正するための法律で、大きく4つの項目が改正されます。その内容について、今回から1項目ずつお伝えしていきます。

【改正内容その1】被用者保険(厚生年金保険、健康保険)の適用範囲の拡大

パート・アルバイトなどの「短期労働者」の人を、厚生年金や健康保険の加入対象とすべき事業所(会社)の「企業規模」の要件が段階的に引き下げられます。ということは、今まで加入対象ではなかった人も加入対象となる可能性があり、厚生年金保険料と健康保険料がお給料から天引きされることになります。

どのような短期労働者の人が厚生年金や健康保険に加入しなければならないのかという要件は、これまでも段階的に変更されてきました。次の要件のすべてを満たした場合に、厚生年金や健康保険に加入することとなっていました。

2016年9月まで

1.週の労働時間が30時間以上

2016年10月から

1.週の労働時間が20時間以上
2.月額賃金が8.8万円以上(年収換算106万円以上)
3.勤務期間が1年以上の見込み
4.学生でない
5.従業員が500人超の企業に勤務

2017年4月から

1.週の労働時間が20時間以上
2.月額賃金が8.8万円以上(年収換算106万円以上)
3.勤務期間が1年以上の見込み
4.学生でない
5.従業員が500人超の企業に勤務
6.500人以下の民間企業は労使合意で適用拡大可

この内容が2022年から次のように改正されます。

2022年の改正内容

1.週の労働時間が20時間以上
→変更無し

2.月額賃金が8.8万円以上(年収換算106万円以上)
→変更無し

3.勤務期間が1年以上の見込み
撤廃。フルタイム被保険者と同様の「2カ月以上」が適用される(2022年10月から)。

4.学生でない
→変更無し。

5.従業員が500人超の企業に勤務
6.500人以下の民間企業は労使合意で適用拡大可
→従業員50人超の企業まで範囲を拡大
2022年10月から:従業員が100人超の企業
2024年10月から:従業員が50人超の企業

(7.強制適用の対象となる5人以上の個人事業所の適用業種に、弁護士・税理士等の士業を追加)

このように、上記3と5の要件が変更され、今までよりも厚生年金や健康保険に加入する人の範囲が広くなります。

扶養の範囲内で働いている人に影響が?

現在配偶者の扶養に入っている人は、公的年金は第3号被保険者、健康保険は被扶養者となり保険料はかかっていません。これが勤務先の従業員数と年収によっては、2022年から保険料がかかることになります。

今の制度では、従業員数500人超(企業によっては500人以下も含む)の企業で、年収106万円以上の人が厚生年金と健康保険の加入対象となっていて、それ以外の人は年収130万円を超えなければ加入対象とはなりません。

これが、2022年からは従業員数100人超、2024年からは従業員数50人超の企業に勤めている場合には、「130万円の壁」が106万円に下がり、社会保険上の扶養から外れることになります。

この改正によって、勤務時間を短くする、扶養から外れるのであればこれまでよりも働いて多くの収入を得る、など働き方を変える必要がある人もいらっしゃると思います。収入が増えれば控除される保険料も段階的に増えていきますので、収入によって保険料の額がどれくらい変わるかどうかを改正に確認・試算してみても良いかもしれません。