ベビーシッター利用支援事業の助成が非課税に~令和3年(2021年)度税制改正~

小さいお子さんがいる場合には
「保育園に入れないので復職できない」
「1日だけ子どもの面倒を見てほしい」
といったお悩みをお持ちの場合もあると思いますが、
子育て支援政策の一環として自治体が「ベビーシッター利用支援事業」を実施しているのをご存じでしょうか?
自治体によって実施の有無や事業の内容が違うのですが、ベビーシッターや一時預かり保育などを利用する時の利用料を助成してくれるものです。
この助成に対する課税の取り扱いが令和3年度の税制改正で変わりましたので、今回は「ベビーシッター利用支援事業」の概要と税制改正の内容をお伝えします。
「ベビーシッター利用支援事業」とは?
保育所へ入所の申込をしているけど待機児童となっている、仕事などの都合で一時的に子供を預けたい、などといった時に、ベビーシッターや一時預かり保育を利用することも検討すると思います。
そのような時に活用できるのがベビーシッター利用支援事業で、
東京都の場合には、
・ベビーシッター事業者連携型
・一時預かり利用支援
の2つの支援事業があります。
例えば「ベビーシッター事業者連携型」の場合は、
1.0歳児~2歳児の待機児童の保護者
2.保育所等の0歳児クラスに入所申込みをせず、1年間の育児休業を満了した後、復職する人
で、自治体からこの事業の利用案内を受けた人が対象となります。
対象となった場合にはお子さんが保育所などに入所できるまでの間、東京都の認定を受けた認可外のベビーシッター事業者を利用する場合の利用料は1時間あたり150円(税込)を負担するだけで済み、残りの利用料は自治体が負担してくれます。
このように子育てにかかる費用を助成することで、小さいお子さんがいる場合にも働きに出られるように支援する事業となっています。
税制改正で何が変わったのか?
助成を受けられるということで一見良い制度なのですが、反面、利用することによるデメリットもあり、このデメリットが今回の税制改正で改善されました。
東京都の場合、ベビーシッターの利用料は1時間あたり2,400円(税込)が上限となっているのですが、税制改正前は、利用者が負担した額である1時間あたり150円(税込)との差額、
つまり自治体が負担した額(助成額)が「雑所得」として、所得税や住民税の課税対象となっていました。
このため、利用者が受けた1年間の助成額によっては
・所得税の確定申告が必要
・追加の税負担が発生する
・実際の収入は増えていないのに税負担が発生する
・所得額が増えるので保育所に入ったときの保育料が高額になる
といったデメリットが生じることになり、利用をためらってしまうという問題がありました。
このような問題を解消するために、今回の税制改正では助成額が「非課税所得」となり、令和3年1月1日からの助成額は所得税や住民税の課税対象とはならなくなりました。
今回の改正によって今までよりも利用のハードルが下がりました。
ちなみに非課税となるのは、国や自治体からの助成のうち
次のものとされています。
1.ベビーシッターの利用料に対する助成
2.認可外保育施設等の利用料に対する助成
3.一時預かり・病児保育などの子を預ける施設の利用料に対する助成
※上記の助成と一体として行われる助成についても対象
(例:生活援助・家事支援、保育施設等の副食費・交通費等)
なお冒頭でもお伝えしましたが、自治体によってはこの支援事業を行っていない場合がありますので、
ホームページなどで実施の有無や内容を確認するほか、利用対象者となっているかどうかもあわせて確認する必要があります。
「ベビーシッター利用支援事業(ベビーシッター事業者連携型)」
・東京都福祉保健局
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/hoiku/bs/bs3nendo.html
「ベビーシッター利用支援事業(一時預かり利用支援)」
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/hoiku/bs/bsitijiazukari.html