住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)はどう変わる?~令和3年(2021年)度税制改正~

毎年税制改正が行われ、改正の内容によっては私たちの暮らしにも様々な影響が出てきます。
令和3年度の税制改正法案は1月26日に国会に提出されていますが、例年通りいけば3月中に可決成立して、4月1日に施行されることになります。
そこで今回から数回にわたって、私たちの暮らしに関係する税制改正の内容をお伝えしていきます。
第1回目は「住宅借入金等特別控除」いわゆる住宅ローン控除の改正内容をお伝えします。
住宅ローン控除の概要
はじめに、従来からある住宅ローン控除の概要をお伝えします。
住宅ローン控除は、住宅購入者の金利負担を軽減するための制度です。
住宅ローンを組んで住宅を購入した場合に、10年間にわたって毎年末の住宅ローン残高の1%が所得税の額から控除される制度です。
さらに所得税から控除しきれない額がある場合には、住民税からも一部控除されます。
なお住宅ローン控除の適用を受けるためには、次のような購入する住宅の「床面積」と、購入する人の「所得」の2つの要件を満たす必要があります。
・床面積:50平米以上
・所得:その年の合計所得3,000万円以下
また控除限度額は、購入する住宅によって変わってきます。「認定住宅」と呼ばれる、長期優良住宅や低酸素住宅を購入した場合には
・毎年末の住宅ローン残高(上限5,000万円)×1%=50万円
それ以外の「一般住宅」を購入した場合には
・毎年末の住宅ローン残高(上限4,000万円)×1%=40万円
が控除限度額です。
以上が住宅ローン控除の原則的な制度内容となります。
特例によって控除期間が延長された

この住宅ローン控除は、消費税率が10%になった令和元年10月1日のタイミングで、控除期間が13年間に延長されました。
消費税率が10%の住宅の取得をして、令和2年12月31日までの間に入居した場合には、当初の10年間の控除に加えて、11年目から13年目までは、
・毎年末の住宅ローン残高×1%
・税抜きの住宅購入価格×2%÷3
のどちらか少ない額を所得税から控除できるようになりました。
これは、消費税率が上がった分(2%)だけ、3年にわたって控除してあげますよ、という意味合いがあります。
これによって、
・認定住宅:5,000万円×2%÷3=最大33.33万円
・一般住宅:4,000万円×2%÷3=最大26.66万円
をプラスで3年間控除できるようになりました。
さらに、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮して、注文住宅は令和2年9月30日、建売住宅やマンション、中古住宅の購入や増改築の場合には令和2年11月30日、までに契約をして、令和3年12月31日までに入居すれば、
控除期間を13年とする特例を受けられるようになりました。
ここまでが、令和3年度税制改正前の住宅ローン控除の内容となります。
税制改正で住宅ローン控除はどう変わる?

令和3年度税制改正では、控除期間を13年とする特例を引き続き適用する内容となっています。
具体的には注文住宅は令和3年9月30日、建売住宅やマンション、中古住宅の購入や増改築の場合には令和3年11月30日、までに契約をして、
令和3年1月1日から令和4年12月31日の間に入居すれば、控除期間を13年とする特例を受けられる内容となっています。
さらに床面積の要件が、従来の50平米以上から40平米以上に緩和されました。
40平米以上50平米未満の住宅も住宅ローン控除の対象となりましたが、この適用を受けるには、合計所得金額が「1,000万円以下」であることが要件となっているため、すべての人に適用されるわけではありません。
また床面積については登記簿上の面積で判定されるため、登記簿上で40平米以上となっているかを購入前に確認する必要があります。
このように令和3年度税制改正では住宅ローン控除について、
・控除期間を13年とする特例の延長
・床面積の要件緩和(年収要件有り)
の2つが盛り込まれています。
住宅ローン控除を受ける場合には、お伝えした契約時期と入居時期、とくに契約時期がポイントとなってきますので、住宅購入をお考えの場合には予算やローン計画の検討のほかに契約時期についても検討する必要があります。