高齢化が進むと私たちの暮らしにどう影響する?

2020/11/28 土曜日

もうずいぶん前から「少子高齢化」という言葉を耳にしていますが、今後の日本はますます高齢化が進んでいくと言われています。そうなると私たちの暮らしにどのような影響が出てくるのでしょうか。今回は高齢化と暮らしへの影響について考えてみたいと思います。

「高齢化率」が上がっていく!

「高齢化率」という言葉をご存知でしょうか。日本の総人口に対する65歳以上の人口の割合を示すもので、毎年内閣府が「高齢社会白書」の中で公表している数字です。

・内閣府HP:高齢社会白書
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/index-w.html

その高齢社会白書によると、日本の総人口は2019年10月1日現在で1億2,617万人です。それに対して65歳以上の人口は3,589万人、高齢化率は28.4%となっています。

高齢社会白書がはじめて公表された1997年の統計では、1996年の高齢者は 1,902万人、総人口の15.1%でしたので、ここ10年ちょっとの間で高齢化が進んでいることがわかります。

今後の日本は、高齢化とともに人口減少がさらに進んでいくと考えられていて、2030年には人口1億1,913万人に対して高齢化率が31.2%、2050年には人口約1億192万人に対して高齢化率が約37.7%になると推計されています。ご自身やご家族は、2030年・2050年には何歳になっていますでしょうか?

高齢化率の増加は平均寿命と出生数が大きく関係しています。平均寿命は男女ともに延びていて、2018年の平均寿命は男性81.25歳、女性87.32歳ですが、2050年には男性84.02歳、女性は90歳を超え90.40歳になると推計されています。

それに対して出生数は、2010年の107.1万人から2018年には91.8万人まで減少し、2030年には81.8万人、2050年には65.5万人まで減ってしまうとされています。このような数字からも今後さらに「少子高齢化」が進んでいくことがわかると思います。

高齢化率が上がると負担が増える?

平均寿命が延びることで人生が長くなるのは悪いことではありませんが、そのための生活資金の準備や万が一病気や介護状態になった場合の備えなどが必要となってきます。

生活資金は公的年金である程度準備でき、病気・介護については健康保険・介護保険制度でカバーするという考え方もできますが、少子高齢化によってこのような「社会保障給付費」が日本の財政の大きな負担になっているのも事実です。

社会保障給付費はこの30年の間に約2.5倍に増え、今後も増え続けていくと考えられていますので、財政を改善するために行われた方策の一つが2019年10月に行われた消費税率10%への引き上げです。

ただしこれだけでは財政は改善されませんので、諸外国と比較して低いとされている、租税負担率・社会保障負担率を合わせた「国民負担率」が今後上がっていくことも考えられます。

年金・医療・介護などの社会保障制度を今後も維持するためには、この国民負担率が上がり、その結果、各保険料の負担が増える、医療・介護保険などを利用する時の自己負担率が増える、給付率や給付額が下がる、ということも想定できます。

このように高齢化率が上がることによって、生活をしていくための資金をより多く準備する必要があるだけではなく、様々な制度を維持していくために保険料などの負担増や給付減のリスクも考えられます。

今後インフレは起きるのか?

2013年より行われている「ゼロ金利政策」では「2%の物価安定の目標」、前年と比べて2%の消費者物価指数の上昇が安定的に継続することを目標としています。

これは2020年10月に行われた日本銀行の金融政策決定会合でも、継続すると決定されている内容となります。

・日本銀行HP:金融政策決定会合の運営
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/index.htm

2020年9月の消費者物価指数(総合指数)は前年同月と同水準、2015年を100とした指数は102.0となっており、緩やかではありますが物価は徐々に上がっています。

また、値段は変わらないけど「量」が減っている商品を見たことはないでしょうか?これも一種の値上げですし、業種によっては人件費の高騰を価格に転嫁する場合もありますので、色々な要因で今後物価が上がっていくことも考えられます。

このような「インフレ」が続き、

企業の業績が良くなる → 従業員の賃金が上がる → 消費が上向きになる → 物価がさらに上がる → さらに企業の業績が良くなる‥‥、

となり、日本経済も上向きになれば良いのですが、一方で物価の上昇率を上回る運用をしていかないと、手元の現預金の価値は相対的に下がってしまいます。

インフレ環境下では、運用によって資産を守っていくことも考える必要があります。

また、退職後に受け取る国の老齢年金は、世の中の物価や賃金の上昇に合わせて受取額も上昇する仕組みとなっていますが、老齢年金の上昇率が物価や賃金の上昇率を下回る可能性があり、その場合には現預金と同様にインフレに対応できません。このようにインフレが進むことで実質的な資産価値が減ってしまうリスクも考えられます。

このように高齢化が進む今後を考えていくと、長生きをするための「資金準備」の他にも、税金や社会保障制度の「負担増や給付減」、物価上昇による「インフレ」に備えていく必要があります。

そのためには、資産分散・資産運用・様々な保障の準備などを早めに行っていくことが必要ではないでしょうか。