後々役に立つ?知っておきたい相続税のキホン

2021/3/24 水曜日

相続では亡くなった方(被相続人)の財産を引き継ぎます。その財産が一定額を超えた場合財産を引き継いだ人(相続人等)は相続税の申告が必要です。

「そもそもウチは相続税がかかる?」
「誰がいくら相続税を払うことになる?」
「今から何をしておけばいい?」

など、今までに相続税について考えたことはありますでしょうか?今回は、これから相続について考える場合に知っておきた相続税のキホンをお伝えします。

相続税はどんな税金?

相続税は、亡くなった人(被相続人)の財産を個人(相続人等)が相続等によって取得した場合に、その財産額を基に計算されます。

原則として死亡によって相続が開始し、相続人はその相続開始の時から、被相続人の財産に関するすべての権利や義務を引き継ぎます。

被相続人の財産を引き継ぐ「相続人」が誰になるのかは、法律で順位と範囲が次のように定められています(民法:第八百八十七条・第八百八十九条・第八百九十条)。

・被相続人の配偶者は常に相続人となる

・次の人は、次の順位で配偶者とともに相続人となる
1.被相続人の子(子が被相続人の相続開始前に死亡している時等は、孫(直系卑属)が相続人となる)

2.被相続人に子や孫(直系卑属)がいない場合は、被相続人の父母(父母が被相続人の相続開始前に死亡している場合等は、祖父母(直系尊属))が相続人となる

3.被相続人に子や孫(直系卑属)も父母や祖父母(直系尊属)もいない時は、被相続人の兄弟姉妹(兄弟姉妹が被相続人の相続開始前に死亡している時等は、おい、めい(兄弟姉妹の子))が相続人となる

被相続人に夫や妻がいる場合には、その夫や妻と上の1から3のうち順位が上の人、配偶者がいない場合には、上の1から3のうち順位が上の人、が「法定相続人」になります。

どのくらいの財産を相続すると相続税がかかる?

相続税の課税対象となるのは、現金や預貯金、株式や投資信託などの有価証券、土地や建物などの他、生命保険の死亡保険金や死亡退職金といった「みなし相続財産」のうち「非課税限度額」を超える金額や、

相続開始前3年以内に被相続人から暦年贈与された財産、被相続人から相続時精算課税によって贈与された財産、が含まれます。

このような財産を、誰がどのように相続するかを決め、借金などのマイナスの財産を相続した場合やお葬式の費用を払った場合などはその金額を差し引いて、それぞれの相続人の「課税価格」が決まります。

次にそれぞれの相続人の課税価格の合計額から「基礎控除額」を差し引き、相続税の計算のもととなる「課税遺産総額」が決まります。

このように、被相続人の財産の総額に相続税がかかるのではなく、課税遺産総額が「基礎控除額」を超える場合、その超える額に相続税がかかります。

基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」となっていますので、例えば相続人が3人の場合は、課税遺産総額が4,800万円を超えない場合には相続税はかかりません。

また、例えば課税価格の合計額1.5億円に対して妻・長男・次男の3人の法定相続人がいる場合、課税遺産総額は基礎控除額4,800万円を差し引いた1億200万円となります。

この次に、課税遺産総額をもとに相続税額を計算しますが、それぞれの相続人が実際に取得した財産の割合に関わらず、「法定相続分」で相続したとして計算をしていきます。

今回の例では法定相続分は妻が1/2、長男・次男がそれぞれ1/4となり、それを基に計算をすると相続税の総額1,450万円になります。

この相続税の総額を、実際の取得割合で按分します。1.5億円の財産をそれぞれの相続人が5,000万円ずつ取得したとすると、それぞれの相続人の相続税額は483.3万円となります。

ただし妻には「配偶者の税額控除」が適用され、妻の「課税価格」が「1億6,000万円か法定相続分のいずれか多い額」までは相続税がかかりません。

今回の例では、長男・次男にそれぞれ483.3万円の相続税がかかります。

相続税がいくらかかるか考える前に

今回は細かい計算方法を省き、それぞれの相続人が同じ額の財産を相続したケースをお伝えしましたが、

実際にはそれぞれの相続人が取得する財産の額は均等になることはなく、相続する財産の額によって各相続人の相続税額も変わってきます。

また、そもそも財産の総額がいくらなのかを把握しなければ相続税の試算もできません。さらに誰が相続人になるのかをあらためて確認する必要があります。

このような「モノの把握」と「ヒトの把握」が大切で、さらに相続税がいくらかかるかを考える前に、まずは誰がどの財産を相続するのかといった

「遺産分割」

の方法を考えることが大切だと考えます。

この遺産分割のお話については、あらためて別の機会にお伝えしたいと思います。