高校の授業料を支援する「高校無償化」が変わった

2020/12/29 火曜日

高等学校等就学支援金制度、いわゆる「高校無償化」の制度が2020年4月と2020年7月に変わりました。私立高校の授業料についても実質無償化となりましたが、一方で所得要件についても変更がありました。今回は新しくなった高校無償化についてお伝えします。

高等学校等就学支援金制度(高校無償化)のおさらい

高校無償化は高校などに通う世帯の生徒に対して、授業料に充てるための「高等学校等就学支援金」を支給する制度です。所得等の要件を満たす必要があり、目安として世帯年収910万円未満であれば支給要件を満たしますが、支給額は世帯年収や通っている学校によって変わってきます。

・国立高等学校、国立中等教育学校の後期課程:月額9,600円
・公立高等学校(定時制)、公立中等教育学校の後期課程(定時制):月額2,700円
・公立高等学校(通信制)、公立中等教育学校の後期課程(通信制):月額520円
・国立・公立特別支援学校の高等部:月額400円
・上記以外の支給対象高等学校等:月額9,900円

全日制の公立高校や私立高校(全日制・定時制・通信制)は月額9,900円が支給され、さらに私立高校は世帯年収の違いなどによって支給額が加算されます。

・文部科学省:高等学校等就学支援金制度
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/1342674.htm

2020年4月から私立高校の授業料の実質無償化がスタート

その私立高校の支給額ですが、これまでは世帯の年収目安によって4段階に分かれていました。

これが簡素化され、2020年4月からは支給額が2段階となり、年収目安910万円未満の場合は年額11万8,800円、年収目安590万円未満の場合は支給額が加算され、年額39万6,000円が支給されることになりました。

多くの世帯でこれまでよりも支給額が増えることになり、私立高校の授業料の実質無償化がスタートしました。

高校無償化
・文部科学省HPより

2020年7月から世帯の所得要件が改正

このように、高校無償化の支給額は世帯の年収目安によって変わりますが、実際には世帯の住民税の「所得割額」をもとに支給の有無や支給額が決められていました。

「道府県民税所得割額」と「市町村民税所得割額」を合計した「所得割額」が25万7,500円以上50万7,000円未満(年収目安910万円未満)であれば、月額9,900円(年額11万8,800円)支給の対象となり、さらに25万7,500円未満(年収目安590万円未満)であれば、私立高校授業料の実質無償化の対象となっていました。

この要件が改正され、2020年7月からは「課税標準額(課税所得額)×6%-市町村民税の調整控除額」で計算された「算定基準額」をもとに、支給の有無や支給額が決められることになりました。

「課税標準額」や「調整控除の額」は、市町村から発行される課税証明書に記載されていますが、市町村によっては記載が無い場合があり、その場合には「マイナポータル」に登録をすることで課税標準額などを確認することができます。

・マイナポータル
https://myna.go.jp/SCK0101_01_001/SCK0101_01_001_InitDiscsys.form

なお最新の所得要件と支給額は下記のとおりです。

高校無償化
高校無償化
・文部科学省HPより

この所得要件の改正によって、これまでの支給額が変わる、また支給要件から外れてしまう場合もあります。

高校生の場合は授業料のほか、クラブ活動や大学受験のための費用などがかかりますので、とくに私立高校に通っている、また今後通う予定があるお子さんがいらっしゃる場合には、高校無償化の所得要件に該当するかどうか、の一番新しい課税標準額や調整控除の額を確認する必要があります。